あやまち

「悠亜？」



翔太はそんなあたしに一歩近付いて、心配そうに目線を合わせてきた。



「何泣いてんだよ」



そう言って、ぽろぽろとこぼれ始めた涙を親指でやさしく拭っていく。



「翔、太っ…」



いつも、睨まれているような瞳を向けられていたから、どこか冷たくて、怖くて……


でも、今目の前にある瞳には、そんなものが一切なくて、暖かさだけを感じることができる。


そんな翔太に、凄く安心してしまったんだ。



「俺の、……せい、だよな？」


「えっ」



あまりにもか細い声に聞き逃すところだったけれど、……あたしの耳には、ちゃんと届いた。



「俺が、悠亜を傷付けているんだよな」



そう言って、あたしを自分の胸にすっぽりと納めた。