あやまち
「ただ――」



ここまではスムーズに話せていたのに、次に出す言葉を口にするのが辛くて、言葉に詰まってしまった。



「悠亜?」



そんなあたしを見て、翔太は心配そうに顔を覗き込んできた。


そして、大きな手があたしの頬を包んだ。



「翔、太?」



視線を合わせると、凄くやさしい表情をしていて、胸がきゅんとなる。


やっぱり、あたしは今でも翔太のことが好きなのかな……?



「『ただ』……何?」



詰まってしまった言葉を引き出そうと、翔太が問いかけてきた。


翔太の瞳を見ていると、歯を食いしばって堪えていた涙が、ほろりとこぼれた。


それと同時に、あたしの気持ちも口にした。



「翔太に……信じてもらえなかったことが、一番辛かった……っ」

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