あやまち
「あたしは……ほんとに心から翔太のことが好きだった、……愛してた。……でもね、今は――、自分の気持ちがどこにあるのか、わからない」


「……ん……」



短く発された翔太の声。


ゆっくりと翔太を見上げると、相変わらず悲しそうに眉を下げていて……


なぜかその表情に、胸がズキンと痛んだ。


そしてお互いの視線が絡んだとき、翔太は小さく息を吐いてから口を開いた。



「……俺ずっと、渉の影に怯えてた。元々、渉と悠亜は想い合ってたから、いくら悠亜が俺のことを好きだと言ってくれても、どこか信じられなかった……自分に自信がなかったんだ」



そう言った翔太は、ゆっくりと視線を落とした。



「悠亜は何も感じてなかったかもしれねぇけど、最近の渉はかなり本気で。……あの遠征の前に、『俺のアパートに泊まれ』って言ったのも、すっげぇ嫌な予感がしたからだったんだ」

< 150 / 220 >

この作品をシェア

pagetop