あやまち
渉がそのままあたしとの距離を詰めてきたから、あたしは一歩後退する。


そして……



「中に入れて」



そう言ってきた渉に、



「それは無理」



今はもう束縛されてはいないとはいえ、最近の翔太と渉がどんな関係でいるのかわからない。


だから、翔太のいないときに、翔太名義のこの部屋に渉を入れるなんて、そんなことはできない。


今あたしは、この家の居候という立場なんだから。


でも、渉はそんなあたしの言葉に眉を寄せる。



「何で?」


「……」


「悠亜?」


「渉は、……どうして、ここへ来たの?」



なんと答えたらいいかわからず、話をそらせた。


でもこれは、聞きたいことでもあった。



「それは……」



渉があたしの問いに答えようとしたとき、



♪♪♪~



右手でぎゅっと握られている携帯が、軽快に鳴り始めた。

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