あやまち
何で手に持ってるんだっけと思いながらも……


そういえば、さっきインターフォンが鳴ったとき、あまりに怖くて携帯を握りしめたまま玄関まできたんだったということを思い出した。


とりあえずディスプレイを覗くと、そこに表示されていたのは翔太の名前。



「……」



どうしよう。


何でよりによってこのタイミングで、翔太から電話?


ディスプレイを見て固まっているあたしに、渉は



「出たら?」


「えっ」


「俺、急いでねーから、先出ちゃいなよ」


「……」



電話とはいえ、渉の前で翔太と話すのが嫌だった。


でも、大切な用事かもしれないし、それにここで出ないのも可笑しなことかもしれないと、渉から視線をそらしながら、電話に出た。



“悠亜?”


「うん」

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