あやまち
筋肉質の硬い二の腕で腕枕されながら、翔太から放たれるシトラスの香りに、凄く安心する。
「悠亜」
「ん?」
「この一週間だけど……、俺のアパートにいろよ」
「えっ」
翔太のアパートとあたしのアパートは、少し遠い。
夏休みになった今、大学に近い自分のアパートにいる必要はないけれど……
「何で?翔太がいなきゃ、寂しいだけじゃん」
同じ一人なら、住み慣れているここがいいに決まっている。
それに……
「バイトもあるし、ここにいた方が楽」
バイト先も、この近くにある。
「翔太?」
「……」
少し下から見上げた翔太は、凄く不機嫌な表情をしていた。
「ねぇ、どうしたの?」
何も言わない翔太に、胸の中に少しずつ不安が広がっていく。