あやまち
しばらく見つめあったまま沈黙が続いて……


渉は小さく息を吐いてから



「とりあえず、中に入れてくんねぇ?」


「えっ」


「俺、結構真剣な話してんだけど、玄関で……って、なんか可笑しくね?」



確かに、玄関先で話すような内容ではない。


でも……



「もしかして、警戒してる?」



渉があたしの顔を覗き込みながらそう言ったけれど……


警戒……


そうかもしれない。


また無理矢理……


って、警戒しているのかもしれない。



「もう、あんなことはしねぇよ。いくら、翔太と同じ位置に立ちたかったからって、あんな風に無理矢理抱くなんてこと。翔太に対して、力で捩じ伏せるとか最低だって言っときながら、俺だって……。ほんとにごめんな」



眉を下げながらそう言った渉は、心底悪かったと言っているようにも見えて、この言葉は信じてもいいのかなと思えた。

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