あやまち
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荷物を運び終え、夕食のバーベキューの下拵えをしようと、麻希とあたしはキッチンに立った。



翔太と渉は、外でバーベキューの鉄板や炭などの準備をしている。



こうやって、渉と違う場所で作業していることが、今のあたしにとっては唯一安らげる時間だった。




「最近、翔太のアパートに入り浸ってるんでしょ?」


「うん」


「ほんとに、羨ましいくらいに仲がいいよね」




あれから……



翔太が遠征から帰ってきてから、あたしはずっと翔太のアパートで過ごしていた。



といっても、もうすぐ翔太との同棲が始まるから、荷物は纏めなきゃならないし、時々は帰ってるんだけれど……



でもそんなときは、翔太も一緒。



隣の部屋に渉がいるかもしれないと思うと、一人で戻る勇気はなかったんだ。
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