あやまち
「わっ!やっばーい!」




突然叫びだした麻希に、目を見開いて驚いた。




「どうしたの?」


「タレを買うの忘れてた」




タレ?




「あ、……ほんとだ」




買い忘れてる。



バーベキューで、焼き肉のタレがないなんて、致命的だ。




「渉に車をだしてもらってくる!」




若干、嬉しそうにそう口にしながら、麻希は外へと走っていった。



そりゃ、嬉しいよね。



渉と二人で出掛けられるんだもんね。



そんな麻希の背中を見送ったあと、また食材の準備を始めた。



さっきまで、麻希がずっとしゃべっていたせいか、今は静かすぎて、落ち着かない。



このあと、あたしは普通に過ごすことができるのかな。



渉は、どういうつもりでこの場所にいるんだろう。



接触するのが、怖くてしょうがない。



できるだけ、翔太の傍にいるようにしなきゃ。



じゃないと、あたしの心が壊れそうなんだもん。
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