あやまち
そんなことを考えながら、玉葱を切っていると……



目に染みたのもあるけれど……



涙がぽろぽろとこぼれ始めた。



この涙……



玉葱のせいだけじゃない。



あたし、やっぱり怖いんだ……



もしバレて、翔太を失ってしまうことが、怖くて仕方ないんだ。



丸二日、四人でここに閉じ込められて、何もなく終えられる自信がない。



やっぱり、来なきゃよかった。



ぽろぽろとこぼれ落ちる涙を止められずにいたら……




「何泣いてんの?」




そう聞こえた瞬間、後ろからぎゅっと抱き締められた。




「やっ」




慌てて、振り払う。



なんでっ!



なんでっ、渉が、ここにいるのっ!?



麻希と出掛けたんじゃないのっ!?



渉はそのまま首筋に顔を埋めて、キスを落とす。




「や、めてっ……!」
< 63 / 220 >

この作品をシェア

pagetop