あやまち
「あれ?」
突然後方から聞こえてきた、麻希の声。
「渉、ここにいたんだ。……って、悠亜は何で泣いてるの?」
そう言われて、いまだに頬に涙が伝っていたことに気付く。
「玉葱をね、切ってたら……止まらなくなったの」
最初に出たきっかけは、ほんとに玉葱だった。
でも、あたしの視界に入ってきた麻希の表情は、眉をハの字に下げて、どこか疑っているように見える。
そんな麻希を目の前に、あたしはそれ以上の言葉を発することができずにいた。
だって、口を開けば、全く違うことを口走ってしまうんじゃないかという、不安があったから。
いつもなら、明るい笑い声が飛び交う三人の間に、今は沈黙しか流れない。
でも、その沈黙を破るように、渉が口を開いた。
突然後方から聞こえてきた、麻希の声。
「渉、ここにいたんだ。……って、悠亜は何で泣いてるの?」
そう言われて、いまだに頬に涙が伝っていたことに気付く。
「玉葱をね、切ってたら……止まらなくなったの」
最初に出たきっかけは、ほんとに玉葱だった。
でも、あたしの視界に入ってきた麻希の表情は、眉をハの字に下げて、どこか疑っているように見える。
そんな麻希を目の前に、あたしはそれ以上の言葉を発することができずにいた。
だって、口を開けば、全く違うことを口走ってしまうんじゃないかという、不安があったから。
いつもなら、明るい笑い声が飛び交う三人の間に、今は沈黙しか流れない。
でも、その沈黙を破るように、渉が口を開いた。