あやまち
「麻希……、俺、……もうおまえと付き合えねぇわ」


「え」




そうこぼされた麻希の声は、耳をすまさないと聞こえないほどに、小さなもので……



大きな瞳は、あっという間に潤いを帯びてしまった。




「渉、……ど、して?」


「……、やっぱさ、忘れらんねぇんだ……、……悠亜のこと」




えっ!?



まさか、この場であたしの名前を出すとは思わなくて……



明らかに動揺の色を見せてしまった。



でも……




「それでも、いい……渉の、傍に、いたいっ」




麻希は、驚きもせずに、涙をポロポロとこぼしながら、言葉を発する。



麻希は、渉があたしのことを好きだって……



知っていたの――?
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