あやまち
.


「映画でも観てく?」


「えっ」




いつもは、夕食を食べ終わったら真っ直ぐに帰るのに……



いつもと違う行動をする翔太に、少し不安になる。



そんなあたしの様子に気付いてか、翔太はやさしく頭を撫でながら




「明日、部活がないんだ。たまには外で楽しむのもいいかなと思ってさ」




明日、部活がないんだ……



少し前までのあたしなら、“翔太と一日一緒に過ごせる!”と大喜びしていたけれど……



今は、その言葉で、胃にきりっと痛みが走った。




「悠亜?」




少し顔を歪めたあたしの顔を、心配そうに覗き込んでくる翔太を見ていたら……



あたしの中に、今までにない感情が込み上げてきた。






あたし……



今は、翔太と二人でいることが、苦痛なんだ――…

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