その瞳で見つめて~恋心~【完】
さっきまでの様子について話されて、胸が痛い。
それにしても、話とはなんだろう。
「俺。正直まだ、水嶋さんのことが好きだよ」
「え?」
進藤君はうつむきながら、自分の胸の内を語る。
「だけど、水嶋さんは兄さんが好きだから。だから、邪魔はしない」
そこで、進藤君は深呼吸した。
「けど。水嶋さんが俺に奪われたいって思ってるなら、話は別だよ」
「──え?」
進藤君はあたしの驚く声に反応して、顔を上げる。
彼は至って真剣な表情を浮かべていて、とうてい冗談とは思えなかった。
確かに、進藤君のことは好きだけど。
だけど、そんなこと思ってない。
「俺が部屋に入ってきたとき、こっちを見たよね。涙目で。──俺、確信したんだ。水嶋さんは俺に奪われたいんだって……ね」
進藤君の手が伸び、あたしのあごを掴んだ。
「どう? 水嶋さんは、俺のことが好きなんでしょ?」
「ち、違う……っ」
「違う? 違わないね。違うって言うなら、もっと抵抗してみなよ」
あたしは手を動かして進藤君の手を掴もうとするけど、その手は簡単に捕まってしまう。
「やっぱり、水嶋さんだね。単純だよ」
進藤君と目が合う。
まっすぐに見つめる、進藤君の濡れた黒い瞳。
彼のその目と合った瞬間、まるで金縛りにあったかのように動けなくなってしまう。
「動かないの? じゃあ、キスしちゃうよ……?」
それにしても、話とはなんだろう。
「俺。正直まだ、水嶋さんのことが好きだよ」
「え?」
進藤君はうつむきながら、自分の胸の内を語る。
「だけど、水嶋さんは兄さんが好きだから。だから、邪魔はしない」
そこで、進藤君は深呼吸した。
「けど。水嶋さんが俺に奪われたいって思ってるなら、話は別だよ」
「──え?」
進藤君はあたしの驚く声に反応して、顔を上げる。
彼は至って真剣な表情を浮かべていて、とうてい冗談とは思えなかった。
確かに、進藤君のことは好きだけど。
だけど、そんなこと思ってない。
「俺が部屋に入ってきたとき、こっちを見たよね。涙目で。──俺、確信したんだ。水嶋さんは俺に奪われたいんだって……ね」
進藤君の手が伸び、あたしのあごを掴んだ。
「どう? 水嶋さんは、俺のことが好きなんでしょ?」
「ち、違う……っ」
「違う? 違わないね。違うって言うなら、もっと抵抗してみなよ」
あたしは手を動かして進藤君の手を掴もうとするけど、その手は簡単に捕まってしまう。
「やっぱり、水嶋さんだね。単純だよ」
進藤君と目が合う。
まっすぐに見つめる、進藤君の濡れた黒い瞳。
彼のその目と合った瞬間、まるで金縛りにあったかのように動けなくなってしまう。
「動かないの? じゃあ、キスしちゃうよ……?」