その瞳で見つめて~恋心~【完】
扉の前で止まっていた、あたしの背後から聞こえたハスキーな声に言葉を遮られる。

あたしはとっさに、その声の主へ振り向いた。


振り返った先には、後に進藤先輩が埋め合わせをしてくれたんだろう、茶髪の男が立っていた。


あたしは彼に道を譲って、室内に入ってもらった。


「蓮夜!? 何で、お前が……?」

あたし以外のみんながやってきた彼を見て、まさかと言わんばかりの驚いた表情をする。


なんで、みんな知ってるの?
有名人なのかな?


「進藤先輩が困ってたから、来たんだよ」

「それにしたってお前、合コンに参加しない主義だろ?」

「まあまあ。合コンに参加したことがないから、少しでも興味があるんなら、先輩に協力しようと思ったんだよ」

その蓮夜という人は男性側が座るソファに腰を落ち着けた。


「まあ……、進藤先輩がいいって言うなら、いいのか」

今まで発言していた短髪の人がそうつぶやくと、その場のみんなはそれ以上の言及はしなかった。
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