その瞳で見つめて~恋心~【完】
「俺、蓮夜。よろしくな、水嶋さん」
「う、うん。よろしく」
奈月ちゃんが元気に歌って、みんなが彼女に便乗して盛り上がっている最中のこと。
あたしは合コンを初めて知ったわけなので、その場の空気に馴染めずに座っている。
すると、蓮夜君がジュースを持ってそばに座ってきた。
「水嶋さんって、やっぱり初めて?」
「う、うん。だから、よくわかんなくて」
「そっか。大丈夫。合コンなんてそう滅多にやんねーし、その場の空気に流されちゃえばいいんだから」
「そ、そうなんだ」
蓮夜君との距離はあまりなくて、思わず謙遜してしまう。
けれども、優しく教えてくれているんだから、悪い人ではなさそう。
「水嶋さんって、好きなアーティストは誰?」
「あ、WISHが好き」
「へー。水嶋さんってWISHが好きなんだ? 意外」
「う、うん。そんなに意外かな?」
「確かに意外だけど、水嶋さんって静かだからさ。何が好きなのかわかんないから、そう思っただけ」
なるほど。
合コンって、こうしてトークしたりするんだ。
あたしが納得していると、奈月ちゃんの曲が終わった。
「なぁ、『王様ゲーム』やんねー?」