その瞳で見つめて~恋心~【完】
「え? 王様ゲーム……?」

なんだろ、それ?


完全に進行役を務めている黒の短髪の彼が言い出した『王様ゲーム』には、全く聞き覚えがなかった。


「あれ? もしかして水嶋さん、王様ゲーム知んない?」

「うん」

司会はあたしが思案顔になっていることに気づいたらしい。


「じゃあ、説明するね! 王様ゲームってのは、くじで誰かが『王様』になるか決めんの。んで、王様になったら、好きなこと命令できんだ。あっ、ちなみに、王様以外の人は数字になんだよ。王様が何番と何番が……って言うから、命令された数字の人が従うゲームだよ」

あたしは司会の彼が説明してくれている言葉の途中で肯いて、最後に要約する。


えっと、とりあえず、『王様』になった人が命令するゲームってことだよね?


「判った? 水嶋さん」

「うん。ありがとう」

「じゃあ、早速。割りばしに『王様』って書くから、その人が王様な!」

進行する彼が割りばしを8膳取り出して、持ち手になっている太い箇所に数字や王を書いていく。


こんな遊びもするんだ。


説明を聞いて準備を見ていると、おもしろそうなゲームなのでワクワクと胸が躍った。


「──よし! みんな、好きな割りばしを選んで、一斉に取れよ?」

順次に割りばしを選んで掴むと、司会が「せーのっ!」と声をかけた後に一斉に取る。

自分にしか見えないように箸を手で覆ってから見ると、《6》という数字が書かれていた。


「王様、だぁれだー?」
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