その瞳で見つめて~恋心~【完】
「………………」
進藤先輩と別れたそれから、進藤君と無言で観覧車のゴンドラに乗り込んだ。
昨日の『大キライ』と言ってしまった一件があって、重たい沈黙があたしたちを襲う。
だから、今、すごく気まずい──。
「水嶋さん」
向かい合っているはずなのに、お互いに顔を見ようとしない。
あたしは気を紛らわせるために、ずっと窓から施設内の様子を眺めていたが、進藤君が密室にこもる静寂を破った。
「俺、やっぱり水嶋さんが好きだよ」
彼の言葉を聞いて徐に進藤君を見ると、目を伏せながら静かに語り出した。
「自分でも驚いてるんだ。こんなに一途になれたのが」
「………………」
「もう、水嶋さんを悲しませたくない。だからもう一回、『キライ』って言ってほしいんだ。そしたら、俺──諦めがつく気がするんだ」
あたしは相槌を打つわけでもなく、ただただ彼を見つめていた。
けれども、あたしが見据える間も、進藤君は終始こちらに目もくれず、悲哀を込めた表情をしていた。
そんな彼らしくない姿に、目が離せなかった。
もう一回、『キライ』って言う?
ううん……。
あたしこそ、もう進藤君を悲しませたくない──。
「水嶋さん。お願い……」
「好き」
「うん……。って、え?」
進藤君はうつむきながら肯いたが、あたしの言葉に驚いてすぐに顔を上げた。
進藤先輩と別れたそれから、進藤君と無言で観覧車のゴンドラに乗り込んだ。
昨日の『大キライ』と言ってしまった一件があって、重たい沈黙があたしたちを襲う。
だから、今、すごく気まずい──。
「水嶋さん」
向かい合っているはずなのに、お互いに顔を見ようとしない。
あたしは気を紛らわせるために、ずっと窓から施設内の様子を眺めていたが、進藤君が密室にこもる静寂を破った。
「俺、やっぱり水嶋さんが好きだよ」
彼の言葉を聞いて徐に進藤君を見ると、目を伏せながら静かに語り出した。
「自分でも驚いてるんだ。こんなに一途になれたのが」
「………………」
「もう、水嶋さんを悲しませたくない。だからもう一回、『キライ』って言ってほしいんだ。そしたら、俺──諦めがつく気がするんだ」
あたしは相槌を打つわけでもなく、ただただ彼を見つめていた。
けれども、あたしが見据える間も、進藤君は終始こちらに目もくれず、悲哀を込めた表情をしていた。
そんな彼らしくない姿に、目が離せなかった。
もう一回、『キライ』って言う?
ううん……。
あたしこそ、もう進藤君を悲しませたくない──。
「水嶋さん。お願い……」
「好き」
「うん……。って、え?」
進藤君はうつむきながら肯いたが、あたしの言葉に驚いてすぐに顔を上げた。