その瞳で見つめて~恋心~【完】
「好きっ……。大好き……!」

今まで言えずにいた進藤君への気持ちを、こうしてやっと言えた言葉。

募っていた想いをようやく晴らせたことに安心してしまって、涙があふれてきた。


彼を見ても涙でにじんでいて、進藤君の表情がわからない。


「水嶋さん……」

「あたしね……、気づいたの。ホントに好きなのは、進藤君なんだって……っ」

進藤君のことをこんなに好きで、愛しくて。

でも、彼を想うと、悲しくて。

しかし、やはりどうしても上手に表現できないくらいに、進藤君が好きなんだって──気がついたんだ。


「ごめんね、気づくのが遅くて。ありがとう、水嶋さん」

「うん……」

あたしは進藤君が座る席に移動し、たまらず抱きついた。


「今、すげーうれしい」

「うん……っ」

抱きつく腕を放して、彼と間近で面と向かう。

すると、進藤君の両手が伸び、あたしの両頬をはさんで見つめてくるので、こちらも見つめ返す。


「キス、したい。いい?」

「──うん。あたしも、してほしい」

あたしが許可してからもしばらく見つめ合い、進藤君が目を閉じた。


あたしも目を閉じて、進藤君が来るのを待つ。


──どうしよう。
今、すごくドキドキしてる……。


両想いだとわかった瞬間、これ以上とない鼓動の速さや心臓の爆音を感じる。


進藤君……。


彼とキスができたら、この心音は大人しくなってくれるのではないか──と期待を込め、胸中で進藤君を呼んだ。
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