その瞳で見つめて~恋心~【完】
「ん……」

まだ微熱みたいで抵抗できず、進藤君にされるがままに唇が奪われる。

けれども、やっぱり彼は優しくて甘いキスに、体がとろけてしまいそうな感覚に陥る。


「やっぱり、水嶋さんは可愛いね」

顔を離す際、進藤君はチュッとあたしの口唇(こうしん)を吸う。


「進藤君こそ、カッコいい……よ?」

「ありがとう。水嶋さんに誉められるのが、一番うれしい」

彼は平然と言ってのけているように聞こえるけれども、頬が微かに上気している。

あたしが思わず言い返してしまった言葉に、照れているのかも知れない。


「もう一回、キスしていい?」

「んっ……」

あたしが返事するより先に、また進藤君がキスをしてくる。

しかし、先ほどよりも深くて──かつ、さらに甘い。


「ダメ……、もう……っ」

息が苦しくて、仕方がない。

だから、もうやめるようにと口先で抵抗してみるものの、接吻(せっぷん)はとめどなく繰り返される。


しばらくして、願いが叶ったように口が離れる。

が、しかし、彼はあたしを射抜くように真っ直ぐに見据え、黙っている。


「進藤君……?」

いい加減に体勢を戻さなければ、保健医が騒ぎ立ててしまうだろう。

なので、戻るようにと指示するために口を開く。

だが、その前に進藤君が一足早く声を発した。


「──このまま、オレのモンにしていい……?」
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