その瞳で見つめて~恋心~【完】
えっ……?


何を言い出されるかと思った。

けれども、耳を疑うような言葉を聞いた気がして、目を丸くする。


そうしたら、進藤君の手が私の体を触りはじめた──。


「ダ、ダメ! 進藤君っ……」

「あっ……」

あたしはしっかりと拒絶し、彼に我を取り戻させた。


「水嶋さん、調子はどう?」

進藤君がようやくベッドから降りていすに腰かけた途端、カーテンが開かれて保健室の先生が現れた。


「あれ? 進藤君もいたの?」

「はい。水嶋さんが心配で」

「そう。──で。水嶋さんは大丈夫?」

「あ、はい。大丈夫です」

「そう、それはよかった。じゃあ、お大事に」

あたしは感謝を込めて一礼して、ドアへ向かう。

それから扉を閉めるとき、先生はにこやかな表情をして見送った。


「もう。ここ、学校なんだからね?」

廊下を先頭に歩く彼を軽く叱咤すると、小さく笑った。


「ごめんね? 何か、アクセルかかっちゃったみたい」

「アクセルって……」

こちらが呆れるような言い方に、あたしはため息をついた。


アクセルって。
進藤君は車?


「でも。水嶋さんは俺のモノだって実感させなきゃ、だし」
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