その瞳で見つめて~恋心~【完】
「あれ、水嶋さん?」

「あっ、進藤君!」

蓮夜君と入れ違うように、進藤君が教室に戻ってきた。


「何やってんの?」

彼はあたしの席にやってきて、覗き込む。


「部活がないから、先生にプリントのとじ込み頼まれたの」

「そっか」

納得した進藤君はあたしの向こう側の椅子を持ってきて、何かを言うまでもなく、ホッチキスでプリントを留めはじめた。


進藤君、手伝ってくれるんだ。
うれしい……。


「どうしたの? ニヤニヤして」

「へっ!? あ、なんでもないよ!」

顔の前で手を振って否定する。


しかし、いざ顔面を触れてみると、確かに頬が緩んでいた。

多分、無意識にしていたのだろう。


「ふーん?」

と、素っ気ない反応をしたあと、彼は作業に戻った。


危ない、危ない。
また、意地悪されるトコだった。


「ありがとう、進藤君」

「ん」

進藤君は黙々と手を動かしているので、こちらに見向きもしない。

彼は集中し出すと、黙ってしまうタイプらしい。


意外だな……。


進藤君のまた思いがけない一面を見て衝撃を受けていた。

だが、すぐに我に返って、つい止まっていた手を動かしはじめた。
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