刹那音
「もしもし…希衣です」
電話を通して希衣の不安げな、かすれた声が聞こえた。
電話をかけた人が俺だとは知らされてないみたいだった。
「律だけど」
「えっ…律!?」
それには何で?という疑問が含まれていた。
「あの…ごめん。俺のせいで風邪ひかせちゃって…」
「律のせいじゃないよ!」
希衣は大きな声をだしたせいか、むせてしまった。
「希衣?大丈夫?」
「ケホッ…大丈…夫…っ…」
…絶対大丈夫じゃない。
早く電話切って、寝かせた方がいいかも。