刹那音
「あ、夢架チャン!」
槙野夢架。
同じ陸部の長距離だった女子。
「塾でしょ?一緒にいこー」
今は俺たちと同じ塾に通っている。
千尋と同様、私立単願に合格していたが、二人とも高校まではがんばると言って塾に来続けていたのだ。
「あっ夢架、唇切れてる」
「げっ!!最悪~…だから冬って嫌い…」
同じ塾にいくにつれて、三人は急速に仲を深めていた。
俺も夢架のことを名字ではなく名前で呼ぶようになっていたほどに。