光~彼との夏物語~
そんなの…

「今がいい。」

帰したくない。

あたしが小さな声でそう言うと圭は頷いて由香莉を見た。

「ていうことだから少し時間いいかな?」
圭がそう言うと由香莉はあたしを見て渋々頷いた。

「実はね、翡翠。俺夏の間翡翠を家で預かろうと思ってここに来たんだ。」
「えっ…」

突然の言葉に耳を疑った。
それは由香莉も同じようで眉間に皺を寄せていた。

「今学校は夏休みだろう?ずっと孤児院にいるのもどうかと思ってね、いい機会だと思うんだ。いつまでも自分の殻に閉じこもっていちゃ生きる気力なんてなくなってしまうだろ?」
そんなこと気にせず圭は話を続ける。

あたしの頭の中は混乱していた。
圭が夏の間あたしを預かる?
何故?何の為に?

親戚でもなんでもないただの赤の他人同士。
それなのに何故そこまであたしに構う?
第一親戚という証拠がないのに孤児院の大人が許すわけない。

なのにどうするって…

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