光~彼との夏物語~
「いいと思うよ!」

由香莉が手を叩きあたしに向かって笑いかけた。
いきなりのことにあたしは目を見開く。
そういえば由香莉いたんだっけ。

「翡翠この孤児院にきて長いもんね。うん、いいと思う!圭さんと一緒に行ったら?息抜きしておいでよ!」
そう笑顔で言う由香莉。
…由香莉はどうしてこんなにも人のことを思えるのだろう。

由香莉の方がこの孤児院に小さい頃からいて、長い間何処にも行ったことがないというのに。
どうして羨ましがったり、皮肉を言ったりしないの?

「行っておいで、翡翠!」

初めて由香莉をうざいと思わず優しい子だとあたしは思った。
笑顔の由香莉にあたしは頷く。

それを見た圭は「よし」と言うとあたしの頭に手を乗せた。

「じゃあ決まりな?また明日迎えに来るから用意しといて。」
そう言う圭にあたしは「絶対来てよ。」と念を押す。
すると圭は「当たり前!絶対来るから待っとけって。」そう言ってあたしの頭を軽く叩いた。


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