禁断ノ遊ビ
目の前の光景に細い声を漏らさずにはいられない。
木の下に咲く手の花に、赤色に染まる薺の白い着物。そしてその下にはうつ伏せに雛が倒れていて、赤い着物が右足の部分だけ赤黒く染まっていた。
傍らに落ちるのは血のついた斧。
ゾッとせざるを得ない。
状況を全て見終わると、薺は此方に気付いた。反射的に一歩下がっていた。
「あーあ。見つかっちゃった」
雛がすぐそこで倒れていると言うのに、僕を見るなり残念そうに眉を下げる。それこそ、かくれんぼでもして鬼に見つかったかのように。
「な、にして……ひな……ひな、は?」
「雛?死んでないよ?ねぇ、雛。ほら、返事して」
「う……は…い」
息も絶え絶えに紡がれる言葉。理由を考えた所で理解など到底無理だった。
今は只、雛の事だけが心配で、僕は倒れた雛に駆け寄った。