IMITATION LOVELESS -Remember-


「僕さえ! …僕さえ居なくなれば、二人は殺されない…」


憐は処刑台の入り口で叫びを上げると歩みを止める。

憐の叫びに反応するように雨が弱々しくなる。

濡れた扉の縁に手を添えて囁いた。


「二人と居られた季節は……凄く…幸せだったよ…?」


憐は顔を上げて、首だけで振り返った。


「今も、"あの時"も、護ってくれて……ありがとう……」


振り返った憐の顔は…、美しく、儚く、それでいて…鮮やかすぎる笑顔だった。

真っ暗な雲の隙間から差し込んだ太陽の光が、憐を優しく照らした。


左目の火傷が消えたように見えた。


< 155 / 184 >

この作品をシェア

pagetop