彼ハ知ラナイ【短編・完】




「何回も抱かれたろ?俺に。」

「……で、も…」

「でも緊張するって?」




コクコクと頷く。

言葉が出ないから…




「ふっ…可愛いやつ。」


可愛い、なんて。

初めて言われた。




「今日は、“皐月”とヤってみたくて。」



その言葉がどれだけあたしを苦しめるか。


彼は分かってるんだろうか。









「……アキのことなんか、忘れてよ?」



パリン、となにかが弾けた気がした。




< 25 / 31 >

この作品をシェア

pagetop