彼ハ知ラナイ【短編・完】



彼は、あたしをベッドに押し倒して上から見下ろす。


ぎゅ、と反射的に目を閉じれば。




「目、開けてみ。」



秋より低くてハスキーな声が降ってくる。



「さつき…………」




優衣の代わりだったらもっともっと楽だった。


しょせん彼が抱いてるのは優衣だ。



でも、いまは違う…






「……や、まもと…くん……」



目の前で笑うその顔は、優衣がいるときに見たことはない。









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