北極星の約束
「鈴のお姉さん、
もうすぐ亡くなって11年だっけ…?」
「うん。
お姉ちゃん、まだあたしのことちゃんと見えとるかな?」
雑貨屋を出たところで、
鈴と冬は、まだ青い空を見上げた。
「見えとるよ、きっと。
鈴、すっごい可愛いし、いい子だし!」
「そう?
ありがとう。
あのね、あたし最近知ったんやけど、
北極星って何千年も経ったら変わるんやって」
鈴は言った。
「今の北極星は、
こぐま座のポラリスっていう星なんやで。
こぐま座の中の1番星なんだって」
「じゃあ、鈴のお姉さんは1番星に守られとるんやね」
冬が亜実の話を聞いたのは、中3の冬だった。
鈴の家に泊まりに行ったとき、真冬だというのに鈴は外へ星を見に行こうと言いだした。
最初は寒いから嫌だと言ったが、
無理やり連れていかれ、
2人で星を見ているとき
鈴は亜実の話をした。