暴走族の秘密の姫君

「これ、さっき数学の時間に落としたよ?」


「そ…そう。


…月辺さん…中身見た?」


来たか、その質問。


絶対に聞かれると思ってた。


「え、何が?」


そう応えておくのが一番無難だって、私はそう判断した。


その言葉にほっとしたらしい高槻さんは誰にも聞こえないような声の大きさで私にこう言った。




「…今日の放課後、時計塔の裏ね」


そして、くすくすと笑いながら友達…よりもちっぽけな関係の人たちの元へとかえって行った。

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