暴走族の秘密の姫君
「ねぇ、月辺さん。一緒に来てほしい所があるの…来て?」
そう言って私のことを無理やり立たせようとする。
…一緒に来て?
聞き間違いだろうか。
いや、確かに鈴木さんはそう言った。
そんなことをしたら私が目立ってしまうことを考えてくれないんだろうか。
私が抵抗したそぶりを見せると、今度は鈴木君が私の手を握った。
「月辺さん。もう一回お姫様だっこでもいいよ?」
私の手を握ったまま有無を言わさないような笑みを浮かべる。
…これ、拒否権なんてないみたい。
「分かったわよ、行く。どこまで?」
手短に聞くと、5人は目を見合わせた後「秘密!」と答えた。