【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「ようするに、とにかくサトシは、この子のことを知らないのね?」
「これっぽっちも」
「ふーん。でも私、この子のこと知ってるんだけど」
私のこの言葉に、今度はサトシが、腰を抜かさんばかりに驚いた。
「ええ!? なんで? どうして友里が、知ってるんだよ」
「だってこの子、前にサトシが見せてくれた職場の集合写真に写ってたもん。サトシの病院にいる、看護師さんでしょ?」
「え!? いや……それは……あの……」
私がサトシの職場の集合写真を見たことがあるのは本当だけど、 集合写真にその子が写っていたかどうかなど、覚えているはずもなかった。
カマをかけてみただけだ。
ひとしきり焦った様子を見せたあと、突然サトシは、大きくうなずきながらこんなことを言い出した。
「なるほど、やっぱりそうだったか」
え?
「おかしいと思ったんだ!」
何が?
「ストーカーは、俺の職場にまで来ていたってことだよ!」
はぁ?