とある僧侶と不遜な僧侶
「ホントヒドイんだからなア、先輩は。もっと優しくしてくれたって良いのに! それでも僧侶ですか?」

「優しくされたいなら態度を改めたらどうです? それでも僧侶ですか?」
呆れ果てていると、弥昼は堂々と答えた。

「それでも僧侶です!」

こんなにキッパリと言われると、こんな煩悩まみれの僧侶でも少しは僧侶としての誇りや自覚があるのかもしれないと思えてきてしまう。
今度から少しくらいなら優しくしてやっても良いのかもしれないですね。
私が静かにそう思った時

「ところで先輩」

奴があっけらかんと訪ねてきた。

「マーラってなんすか?」

……前言撤回します。
こいつには一切優しくする必要なし!!

「僧侶のくせに何で知らないんですか!? 大体あなたって人はこの格式高い阿弥陀寺院の僧侶という自覚が足らなすぎます!!」

「あ~もう説教とかいいんで」

「はあ~……。」
呆れてものが言えないとはこの事ですね。

「良いですか? マーラとは修行僧侶を誘惑する女の魔物の事をいいます」

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