恋する猫は、月の下~母さんの昔話~
猫は清汰の部屋に戻りたくて、倉の中で必死にネズミを追いかけました。

しかし、おとなしい気質だった猫は、ネズミを一匹も取ることが出来ません。

「やれやれ、ネズミも取れないなんて、役立たずな猫だよ」

屋敷の人々に苦い顔をされ、猫はしょんぼりとうなだれました。


なかなか倉から外へ出してもらえない猫をかわいそうに思った清汰は

猫をこっそりと部屋に連れて帰りました。

「おまえは、優しいこなんだから、仕方がないね」

清汰にそう言われ、猫は与えられた仕事を満足に出来ない自分を情けなく思いながら

そんな自分を優しく受け入れてくれる清汰に甘えました。
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