運命の、その場所で
予備校が終わって、私は冷め切ったカイロを必死に暖めながら外に出た。
「…ナチ?」
目をこすって確認したけど、木の下にはまぎれもなくナチが座ってる。
どうしたんだろう?こんなところで…
私はナチの所へ行こうと弾む足を一歩出した。
―グイ
「ゥヮ?」
強い力で引っ張られて、私はそれ以上進めていなかった。
すこし苛立ちながら引っ張られた方を見ると、さっきの男がいた。
「…なに?」
「ケシゴム」
「え?」
目の前に差し出されたのは、さっきのケシゴム。
「あー、そうだった!貸してたんだっけ?」
「ありがとう。」