運命の、その場所で
ナチと一緒にいると、何度もこの"目"と遭遇する。
私はその度に、言葉を失ってしまう。
私は全然ナチのこと知らないんだな…
だから、何でもかんでも言ってナチを傷つけちゃうんだ。
「ユキ、誕生日いつ?」
「へ?」
からっぽのカップを置いて携帯をいじるナチ。
「誕生日!もしかして秘密?!」
ニヤっと笑ってこっちを見てくる。
「4月…19日…」
「来月じゃん!聞いといてよかった~。」
安心したような顔をして、また携帯をいじる。
「ねー?何打ってんの?」
「んー?…よし!ほら~」
そういいながら携帯を私に見せた。
ん?なに?
「スケジュールに登録しておいた!」
そこにはハートに囲まれた私の名前と、誕生日が映っていた。
「…じゃ、じゃー、ナチの誕生日も教えて!」
私は急いでスケジュール帳を鞄から取り出した。