スノーマン*☆セレナーデ


そんなあたしの不安は杞憂だった。


持ち上げた雪の塊は、羽が生えたようにように軽かった。
あたしは余裕で大きな雪の頭を持ち上げ、どっしりと構えた胴体の上にそれを乗せた。


――さて次は……雪だるまに顔をつけなきゃ!


そう思った途端、あたしの手にはミカンが二つ現れる。
それをきゅっと雪だるまの目の位置に埋め込んだ。

次に現れたのはニンジン。
それはなかなか立派な鼻になった。

二つ現れた赤いリンゴは服のボタンに。
少し考えてから、リンゴについていた葉を一枚、雪だるまの口に充てた。

その次にあたしの手の中に現れたのは……


マフラー


それは月人君のクリスマスプレゼントにと、あたしが編んだマフラーだった。


――あげられそうにないもの、雪だるま君に使って貰った方がいい!


そう決意したあたしは、その真っ赤なマフラーを雪だるまの首にそっと巻いた。


その時だった。
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