寂しがりやの猫
「頭、痛いよー 田村 助けてぇ…」


後部座席から 思いきり田村に甘えてみる。

営業車は 私用禁止なのだが、特別に許可を得て 二人で乗り込んだ。

「大丈夫ですか?病院行きますか」


「ヤダ。病院は行きたくない」


「だって 辛いんでしょう」


「辛い。辛いよ。田村… 助けて」

「じゃあ どうすればいいんですか?」

「じゃあね、コンビニによって みかんのゼリー買ってきて。あと スポーツドリンクも」


「判りました。で、お宅の住所もお願いします」

田村は 誠実な執事のように何でも聞いてくれる。


今なら何でも言えそうな気がしてきた。


「ねー田村」

「はい」

「アタシのこと 嫌い?」


「え」


「好き?」


「な、何言ってるんですか。熱で頭おかしくなったんじゃないですか」


「アハハ… ほんと」

あーあ… やっぱり 冗談にされたよ…

頭痛い…

もうどうでも良くなってきた。
< 104 / 214 >

この作品をシェア

pagetop