寂しがりやの猫
「アタシはさあ、別に 奈都に結婚しろとか言ってんじゃないの。ただ せっかく好きになったのに、告白もしないでサヨナラなんてなんか切な過ぎるじゃん」


悠里は ちょっと涙ぐんでいる。


「ありがとね、悠里」

私は 悠里にティシューの箱を渡した。

「奈都は 優し過ぎんだよ。相手の気持ちばっかり考え過ぎ」

「うん。でもさ、私、田村は片想いでいいんだ。なんかそのほうがいい気がする。もし私が想い伝えたりしたら、今までの関係が全部壊れてしまいそうで怖い」

「そっか…」


悠里は 黙ってワインを飲み干した。
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