寂しがりやの猫
「俺は」

「え」

顔を上げると 田村がちょっと真面目な顔をしている。


「そのままの中河原さんが好きです」


「……」


カァ…っと顔が熱くなってくる。甘口カレーなのに激辛でも食べたように…。


「あ、わ、私も…」
「え」


「好き… 大好き… 田村のこと」


田村を見ると向こうも真っ赤になっていた。

なんだ、なんだ、田村だって 恥ずかしいんじゃない。

私だけじゃなくて良かった。


「待っていて貰えますか」


「はい?」


「俺が中河原さんにふさわしい男になるまで。待っていて下さい」

「あ、はい…」


田村は そっと手を伸ばして私の手をとった。


「寂しくても、他の男にフラフラしたら駄目ですよ」


「わ、わかってるわよ…」


もうカレーは 喉を通らなかった。

胸がいっぱいで…。
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