寂しがりやの猫
「でもさー たまに ああ、この人で良かったなあって 思うことあるよ」

悠里は 次の飲み物を頼む為に メニューを眺めながら言う。

「そうなんだ」


「うん。アタシ ほら 子供産んでから ちょっと体質変わって 風邪とか引きやすくなったでしょ?」

「ああ、そうだよね。高校時代は いつも皆勤賞だったけどね」

私は 昔の悠里を思い出した。

「うん。でもさ、この頃 歳のせいもあって ちょっと熱出ると キツイんだわ」

「うん、うん わかる」

「そういう時に 普段何もしない旦那が 黙って お粥とか作ってくれてさ、うち息子二人だから 洗濯もめちゃくちゃ多いんだけど 不器用なりに洗濯もしてくれてたりして」

「へぇ… 優しいんだ」


「うん、まあ そういう時だけだけど。普段は 何もしないんだよー」

悠里は やっと 飲み物を決めて オーダーした。


私は 結局 夫婦って 思いやりで結ばれてるのかな… と ぼんやり思った。
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