寂しがりやの猫
― そういえば 私も 入社したばかりの頃 同期の男の子と付き合ってたなあ…

うっすらとした記憶が蘇ってきた。

あの頃、私は 新入社員で一番の美人だとか言われて持ち上げられて、随分いい気になっていた。

同期入社の中で一番かっこいい仲澤くんに告白されて 付き合い始めた。


彼は、凄く優しくて、私の我が侭も全部受け入れてくれたけれど、結局 関西に転勤になって 別れたんだっけ。

今頃 どうしてるのかな…


なんとなく 懐かしくなって ぼんやりしてしまった。


「中河原さん、中河原さん」


「え」

田村が 私を呼んでいる。


「何?」


「さっきから 課長が呼んでますよ」


―ヤバ…

「あ、はい!」

私は 慌てて 立ち上がり 課長の元に行った。


< 56 / 214 >

この作品をシェア

pagetop