寂しがりやの猫
「でもさ。その田村って、市川って奴を理由にしてほんとは自分がデートの邪魔したかったんじゃないのぉ?」


「え…」
ドキリとする。私もちょっとだけそんなことを思っていた。

「だって いくら泣いてたって普通デートしてるって判ってたら 電話なんかしないでしょ。それにさ」

「なに」


「俺が貰ってあげます、なんて 意味深じゃーん!」

悠里は きゃーと言いながら私の肩をバシバシ叩く。


「痛いってばー!悠里、その叩く癖、ほんと高校ん時から変わんないよね!」


「アハハ… ごめん」
「けど… 多分ていうか絶対に冗談だよ…」

下手に期待して傷つくのは嫌だった。


現にその後 会社であっても田村は いつもと全く変わりなく接して来てたし。


「はぁ… 切ないなぁ…」

片想いなんて 本当に中学生以来だった。

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