不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
「今から授業出るのもめんどくさいな。」
ぽつりと尾花さんは呟いた。
「サボるの?」
「そーする。」
「そっか。私は戻るぐえっ」
遅刻したけど授業はちゃんとでようと思い、教室に向かおうとすれば首を掴まれた。
思わず変な声がでる。
「道連れ。」
にっこり。尾花さんは楽しそうに笑った。入学して一週間もたってないのにまたサボることになるなんて…
私は最後の抵抗とばかりに無理矢理にでも教室に向かおうとした。けれどその努力は虚しく、尾花さんにずるずると引きずられて使われていない特別教室に押し込められた。
がちゃ、と内側から鍵をしめると尾花さんは適当な椅子に座り机に突っ伏する。
「…尾花さんって、意外と強引なんだね。」
「そういう心ちゃんだって、最初は静かだったのに今は煩いよ。」
煩いまで言わなくてもいいのに。つくづく失礼なひとだと思う。
けど、尾花さんと知り合ってまだ二日しか経ってないのに、自分がこんなに素で話せるとは思ってなかった。
「俺さー、こんなに人に構うのはじめてかも。」
「なんか意外。尾花さんは誰にでも強引なのかと思った。」
「失礼だな。」
そう言って、尾花さんはまた笑った。
「…俺、実は内気だから。」
「…信じられない。」
「本当だよ。内気な性格だから、今まで友達作るのとか苦手だった。一人で行動してたら近寄り難いって印象あたえちゃってさぁ。勇気だして話しかけても避けられるし散々だった。」
まあ、この整ってる容姿じゃ仕方ないけど。と自分で言う尾花さんに思わず苦笑した。
「だから、イメチェンしてみた。」
「どう考えても可笑しいでしょ!」
イメチェンで女装するっていう発想が凄い。尾花さんはほんとによくわからない。
「まあ、嘘だけど。」
「え?」
「…俺が女装してる理由知りたい?」
「可愛いものが好きだからじゃないの?」
「それもあるよ。」
ほかにも理由があるのだろうか?私がほかの理由を問えば、彼は少しめんどくさそうに話し出した。