不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
「この際だから言うけど、佐倉君と他人っていうの嘘。従兄弟なんだ。」
「…え?」
「佐倉君の父親と俺の父親が双子なの。」
なるほど。それだったら理来と尾花さんが似ていることに納得がいく。
「色々あって、はじめて佐倉君と会ったのが小5のときでさ。俺、父さんに佐倉君は女の子だって聞かされてたから男ってわからなくて、会った時に一目惚れした。」
「す、すごいね…。」
「男だって知った時のショックが強すぎて、いつか佐倉君も同じ目にあわせてやるってずっと考えてたらたまたま高校が一緒だって知って、理事長の父さんに無理矢理女装することを許してもらって、いまにいたる。」
「ってことは、女装してるのって…」
「佐倉君を惚れさせる為だよ。」
さも当たり前だというように堂々と答える尾花さんをみて軽く目眩がした。
全部が可笑しすぎる。
「あと、俺の本当の名前は薫(かおり)じゃなくて薫(かおる)だから。改めて宜しくね、心ちゃん。」
「…。」
どう反応すればいいのかわからない。私はぽかんとして綺麗に微笑む尾花さんを見ていることしかできなかった。