Mary's Boy Child ―お父さんとお母さんはねこになった―
小人の後をついて行く仙太郎は、「何処に行くの?」と前をちょこちょこ歩く悪徳商人に質問する。
ほぉっと息を吐く度に、仙太郎の息の塊が真っ白に染まっていた。
フンフンと歩くおれ達の息も当然白い。
「こっちは駅だよ? 忘れ物は駅にあるの?」
問い掛けに、「そうだよ」まずは過去の忘れ物からだと振り返る小人。
過去の忘れ物?
瞬く仙太郎はどういう意味だろうね、とおれ達に視線を投げてきた。
そんなのおれ達が知る由もない。
「それにしても…、なんだか道…、見慣れないんだけど」
キョロキョロと周囲を見渡す仙太郎は、知っているようで知らない道を歩いている気がすると吐露。
確かに見知っているような道を歩いているようで、知らない道を歩いているような。
だけど、おれや頼子はこの道をよく知っていた。
はて、この道をどこで。