Mary's Boy Child ―お父さんとお母さんはねこになった―
曲がり角を曲がり、大通りに出て街を歩く仙太郎とおれ達。
然程歩いていないのに、いつの間にか駅前に着いた。
彩られているイルミネーションがおれ達を歓迎してくれている。
まるで星空にでも飛び込んだような光の粒子が満目一杯に広がった。
驚き返っている間もなく、「忘れ物のひとつだね」小人が前方を指差す。
おれと頼子、そして仙太郎は前方を見つめた。
そこに待っていたのは、噴水の縁で腕時計を気にしている女性。
今度こそおれと頼子は絶句。
その女性は今、シロと呼ばれているおれの妻ご本人様だったのだから!
「お母さんだ」
綺麗だけど、なんか雰囲気が違う…、困惑している仙太郎がそう思うのも無理はないだろう。
向こうにいる頼子は幾分若いし、服装からしても二十代後半だというのは分かる。
「過去の君のお母さんだよ」
混乱している仙太郎に、小人が誤った説明をしてくれた。
よってますます困惑する仙太郎は、どうして昔のお母さんがそこにいるのかと指差す。
それは勿論、忘れ物を探すためだと小人は即答。