春、恋。夢桜。

【四】

「俺、麗華のこと好きかも」

「は?」


一世一代

人生初の告白も、それに対する返事も

とてつもなくあっさりとしていて、気の抜けたような感じだった。


「わしだって、響のことは前々から好いておるぞ?それがどうかしたのか?」


違う。


俺の告白があっさりとしすぎてたのは俺のせいだけどさ……


返事が間抜けだったのは、麗華が言葉の意味を取り違えてるからか。


麗華はさっきの『好き』を

完全に友達としての『好き』だと思ってる気がする。


恋愛の要素なんて、全く感じ取ってない……のか。


溜息を漏らしそうになった口を、俺は思いっきり引き締めた。


「どうもしねぇよ!」


大きな声でそう言った俺を、麗華が何かを怪しむような目で見た。


何か話題を変えなければ、墓穴を掘るような気がする。

そう思った俺は、たまたま思い出した、少し前の麗華の気になる発言について尋ねた。


「そういえば、紅姫に言われてわかったことは、2つだって言ってなかったか?まだ、2つ目は聞いてないよな?」
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